移調の方法!簡単にできる移調のやり方をゼロから解説

シンガーソングライターの綿引ゆうです。

ボーカリストさんは、自分の声に合ったキーで歌うために、移調(キーチェンジ)を、頻繁にしなければなりません。

でも、「移調って難しそう!」「やり方がわからない。どうやってやるの?」って思っていませんか?

私も初めて「CからDへ移調をしてください!」と言われた時、なんのことやらわからずに戸惑った記憶があります。

 

そこで、音楽の基礎知識がなくても、簡単に移調する方法をご紹介したいと思います。

最初は難しく感じるかもしれませんが、慣れれば、簡単にできるようになります。

そんな、移調のやり方についてお話ししてみましょうか。

 

移調とは?

移調とは、ある曲の音の高さの幅をそのままに、全体の音を上げたり下げたりする作業のことです。これだけだと、何のことだかよくわかりませんよね。

例えば、こんな月の絵があったとします。

これをこんなとか

 

こんなとか

 

形を変えてしまうと、同じものと認識できないですよね。

 

でも、こんな感じではどうでしょう。

 

これだったら、位置は変わっているけど同じ「月」だと認識できると思います。

移調とは、こんな風にその原型の形を保ったまま、音だけを平行移動させる方法です。

移調で音の高さを変えても、原型は保ったまま。だから、音の高さは違っても聴いている人には同じ曲に聞こえます。ですが、音の高さが違うため、少し雰囲気が変わって聴こえます。

移調の目的

移調には、いくつかの目的があります。

・曲の雰囲気を変えるための移調。

・演奏しやすくするための移調。

・歌手の音域に合わせるための移調。

ボーカリストさんにとって一番馴染みがあるのは、「歌手の音域に合わせるための移調」ですよね。

声は楽器と違って、人それぞれ生まれながらに持っている音域が違うのです。ある人にはぴったりあったキーでも、違う人には合わない場合があります。

ですから、ボーカリストの方は、既存の曲を歌う場合、常に自分にあったキーに移調する必要があります。

ですので、いつでも自分にあったキーにできるよう「移調」をマスターしておきましょう。

移調のやり方

まずは移調をするにあたり、必要なものを準備しましょう。

事前に準備するもの

五線紙

楽器屋さん、文房具屋さんなどで売っています。私は、某100円ショップで売られているルーズリーフタイプのものを愛用しています。

・移調する曲の楽譜

次に、移調する曲の楽譜を用意しましょう。

今回は例として、「Moon River」という曲 Fキーの以下の楽譜を使用していきます。

 

原曲キーと移調後のキーの調合を把握する

移調するためには、

「あなたが用意した楽譜に書かれている曲のキー(以下、「原曲のキー」と呼びます。)」と

「あなたが移調しようと思っているキー(以下、「移調後のキー」と呼びます。)」

を把握する必要があります。

 

原曲のキーを探す

用意した原曲キーの楽譜に、調合が何個ついているか確認しましょう。

調合とは、下の写真、ピンクで丸が付いているこれのことです。その楽譜に書かれている曲のキーを探すための、手がかりとなります。

この♭の記号は「フラット」と呼びます。これを見て、原曲のキーを判断していきます。

この場合は、♭(フラット)が一つですね。

以下の「調合とキーの早見表」を見て、キーを探しましょう。

〈調合とキーの早見 表〉

※早見表の調合のつく場所は、アルファベットの音名で記載しています。

C=ド、D=レ、E=ミ、F=ファ、G=ソ、A=ラ、B=シ です。

 

早見表の「♭1」を、横になぞってみると、

調合のつく場所は、「B(シ)」、黄色にマーカーされているメジャーキーが「F(Fメジャー)」、青くマーカーされているマイナーキーが「Dm(デーマイナー)」となっています。

よって、♭一つのキーは、FメジャーまたはDマイナーになります。表を見ると分かる通り、一つの調合に対してメジャー、マイナーの2つのキーがあります。

 

それではここから、これら2つのうち、どちらのキーなのかを判別していきます。

メジャー、マイナーの判別方法

楽譜の最後の音を、みてください。ファ(F)の音だったらFメジャーキー、レ(D)の音だったらDmキーです。

 

Moon Riverの曲の最後の音は、

ファ(F)の音ですね。

 

また、曲全体を耳で聞いた感じでも判別できます。

「明るくて楽しい」響きがメジャーキー

「暗くて悲しい」響きがマイナーキー

になります。

曲を聴くと、中盤、少し悲しい響きがあるものの、全体的に明るい印象があると思います。ですので、「Fメジャーキー」となります。

 

まとめると、以下の通りになります。

原曲キーは  「F」

調合は フラット1つ B(シ)の音につく

Fキーは頻繁に出てくるキーですので、ぜひ覚えてくださいね。

 

移調後のキーを探す

次は、移調後のキーを把握します。

もうすでに、「このキーにする」と決まっているならばそのキーで進めてください。

キーがわかったら、上記の早見表を使って、調合を確認しておいてください。

自分に最適のキーを探したい場合は、別記事で書いていますので、そちらも参考にしてください。

練習なしで歌が上手くなる方法。自分にあったキーの合わせ方。

移調キーを選ぶ時の注意

移調する時は、なるべく調合の数の少ないキーを選択しましょう。

やってみると分かりますが、調合がたくさんついている楽譜を書くのは、非常に大変です。楽譜を書くのも大変ですが、譜読みをしたり演奏したりするのも非常に大変です。

例えば、

こんなとか(♯6つ!)

こんな(♭6つ)感じ。

楽譜が読めない方でも、「なんか難しそうだな」と雰囲気をつかんで頂けるでしょうか。とにかく、楽譜が複雑になりごちゃごちゃしてきます。読むのにも時間がかかるし、演奏するのが大変になるのです。

ですので、特別な意図がある場合を除き、調合の少ないキーで演奏することが一般的になっています。

歌のことだけ考えれば、「このキーがベスト」だという場合があると思います。ですが、アカペラを除き、あなたが一人で歌う訳ではありませんよね。伴奏者への配慮が、必要になります。

歌を一番よく聴かせたいのならば、歌のキーに合わせるべきです。ですが、全体を考えていい演奏を望むのであれば、私の経験上、以下の「お勧めキー」を選んだ方が絶対にいいです。

 

「お勧めキー」 C、D、E♭、F、G、A、B♭

「できれば避けたいキー」D♭、E、G♭、A♭、B

 

この「お勧めキー」の中から、選んでいきましょう

例えば、E♭からの移調の場合、「E♭」→「E」ではなく「E♭」→「F」に移調しましょう。

なぜかといえば、Eは♯4つ、Fは♭1つだからです。かなり調合が少ないですよね。

どうしても「Eキーで歌いたい、Fキーだと最高音が出しづらくなる」など問題がある時は、伴奏者に相談しましょう。プロの伴奏者であれば、「調合がいくつだろうが問題ない!」という方もたくさんいらっしゃいます。そこは、伴奏者さんと相談して決めていきましょう。

 

「Fキー」から「Gキー」への移調

今回は、原曲キーは「F」、移調後のキーは「G」で移調してみたいと思います。

まず、原曲キーと移調後のキーがどれくらい離れているかを探します。これはピアノの鍵盤を見て数えるとわかりやすいです。

 

便宜上、鍵盤に1から12まで番号をつけました。この数字は、音の順番を表しています。

「1」と「2」のように隣同士の数字の幅を半音と呼びます。そして、「1」と「3」のように、隣りの隣り、一つ飛ばした数字の幅を「1音(いちおん)」と呼びます。

この数字は横一列にまっすぐに並んでいるわけではなく、紫の線のようなジグザグになっています。

ピアノの鍵盤を見るとわかるように、「ドレミファソラシド」の幅というのは、半音のところと1音のところがあります。「ミ」と「ファ」、「シ」と「ド」の幅は半音、それ以外は1音になります。ここによく注意して、いくつ離れているかを数えてみてください。

ですので、原曲キーFは6、移調後のキーGは8ですので、1音上への移調をするということになります。

一見、FとGは隣どうしのように見えます。ですが、実際はその間に黒い鍵盤のG♭という音があります。ですので、FとGは「1音」離れていることになります。

 

調合の確認

次は、先ほども出てきた早見表で調合の数と調合がつく場所を確認しましょう。

F 調合 ♭ 1つ  調合がつく場所(シ)

G 調合 ♯ 1つ  調合がつく場所(ファ)

となりますね。

 

それでは、五線紙を用意して書いていきます。

原曲キーの楽譜を見ながら、五線紙にト音記号、縦線、調合を入れていきます。

調合は、シャープが一つ、「ファ」の場所に書いてください。

移調の場合、リズム、拍子記号は全く同じですので、音符以外のところは原曲キーの楽譜と同じようにと写していきます。一段が4小節に区切られていたら、4つに区切ります。途中でずれてしまわないように、注意してください。

その他、譜面を書く時のルールです。

・ト音記号と調合はすべての段に書く。

・拍子記号は、最初の段だけに書けば良い。

・♯を書く位置は、♯の真ん中あたりが、一番上の線の真ん中にくるように書く。

ここに注意して、書いていきましょう。

音を1音上げて書いていく

次は、実際に音を入れていきます。

先ほど調べた原曲キーと移調キーの幅は「1音」離れているのでしたよね。

すべての音を「1音上」になるように、五線紙に書いていきます。

Moon River の最初の音は「ド(C)」の音ですので、この音から1音上の音が移調後のキーの最初の音になります。

先ほどの鍵盤を思い出してください。

「ド」の1音上の音は、「レ」ですね。

 

ちなみに楽譜では、ドレミファソラシドは、このように書きます。

一音上への移調するときは、

元の楽譜に「ド」の音が書いてあれば、五線紙には「レ」の位置に書いていく。

「レ」の時は「ミ」

「ミ」の時は「ファ」

と、一つ上の音を書いていきます。

 

Moon Riverの最初の音は「ド」ですので、「レ」を書いていきます。

リズムは同じに書きますので、こんな感じです。

この要領で、音符を書いて進めます。

こんな感じになりますね。

コードも移調する

音符が書けたら、コードも1音上げて書いていきます。

コードとはこれのことです。

コードを1音上げる時も、これを使ってください。

1音上のコードを書きます。マイナーやフラットなど付いているコードの時は、先頭のアルファベットを1音上にするだけで、それ以降はそのまま書きます。

例 1音上のコード

F → G

Dm → Em

B♭ → C

Em7(♭5)   → G♭m7(♭5)  

 

歌詞や音楽記号を入れていく

ここまで出来れば、ほぼ完成です。

音符以外のものは、すべて元の楽譜と同じですので、細かな音楽記号など写して、完成させましょう。

ちなみに、伴奏者に渡す楽譜には、歌詞はつけなくてもいいです。なぜなら、伴奏者が歌うわけではないからです。むしろ、ない方が見やすいと感じてもらえます。

自分用のボーカルの楽譜の場合は、歌詞を入れれば完成です。

完成形

最後に見直しをする

最後に間違っていないか、必ず見直しましょう。

一番最後の音は、「ソ(G)」で終わっていますか?「Gキー」に移調する場合は、最後の音は「ソ(G)」で終わっていないとダメでしたよね。

手作業のため、間違いが多く発生しやすいです。途中でずれてしまうと、そのまま移調されてしまいます。注意深く作業しましょう。

1つ1つの音が、元の楽譜の1音上の音になっているかを確認してください。

楽器が弾ける人は、移調した楽譜を実際に弾いてみるのが一番早いです。間違いが明確にわかります。

伴奏者さんには、必ず間違いがないか確認してから渡すようにしてくださいね。

まとめ

いかがでしたか?

「基礎知識がなくてもできる簡単な移調のやり方」を、おさらいします。

事前に用意するものは、

・五線紙

・あなたが移調したい曲の楽譜

でしたね。

 

今回は、「Fキー」から「Gキー」への移調のやり方でした。

・あなたが用意した楽譜のキー「原曲キー」を、早見表を使って探す。

・「移調後のキー」の調合の数、どこについているかを早見表で確認する。

・「原曲キー」と「移調後のキー」がどれだけ離れているかを確認する。

  「Fキー」から「Gキー」にする場合、1音上への移調となる。

・五線紙にト音記号、調合、拍子記号、縦線を書く。

・元の楽譜を見ながら、1音上に音符を書いていく。

・コードも1音上に書いていく。

・細かい音楽記号など、元の楽譜通りに写していく。

・最後に見直しをする

 

これだけで、誰でも移調ができます。

ぜひ、このMoon Riverの楽譜を使って、実際にやってみてください。簡単にできることが、お分かりになると思います。

早見表を使えば、簡単にキーや調合の位置がわかるので、初めはこれを使ってください。頻繁に出てくるキーは、すぐに覚えてしまいますよ。

ささっと手書きで移調してしまう方が、断然手軽です。

さらりと移調ができるようになって、周りのミュージシャンの方から一目置かれる存在になりましょう。

最後までお読みくださり、ありがとうございました。