純正律と平均律とは?違いを分かりやすく解説します!

歌うメッセンジャーの綿引ゆうです。

「純正律(じゅんせいりつ)」とか「平均律(へいきんりつ)」という言葉を聞いたことがありますか?

これらは、楽器のチューニングの仕方の名称です。

現代の音楽のほとんどは、「平均律」でのチューニングが行われています。

私たちが普段聞いているクラッシック、ポップス、ジャズなどの音楽は、ほぼ平均律です。

そのため、純正律の音楽を聞いたことがない人が大半なのです。

純正律、平均律とは、それぞれ一体どんなものなのでしょうか?

なぜ、現代において平均律が一般的になったのでしょうか?

そして、純正律と平均律、それぞれの特徴をお話ししてみたいと思います。

純正律と平均律

それでは、純正律と平均律の違いについて説明します。

純正律とは

純正律は、紀元前のギリシャの数学者、哲学者である、ピタゴラスによって発明されました。

例えば、一本の弦を用意して、弾いて音を出すとします。これを「A」の弦と呼びます。

次に、この弦の長さを2/3にします。これを「B」の弦と呼びます。弾いて音を出すと、前よりも高い音がでます。

これら2つの音は、とてもきれいに調和します。

これを「和音」と呼びます。純正律では、これを用いて音階を作っていきました。

例えば、基準となる「A」の弦の音を「ド」だとします。この場合、その2/3の長さである「B」の弦は「ソ」になります。

これと同じ要領で、「ソ」を基準とするなら、その2/3の長さの弦の音は「レ」になります。

これを繰り返していくと、次のようになります。

・基準となる弦の音「レ」 その2/3の長さの弦の音 「ラ」

・基準となる弦の音「ラ」 その2/3の長さの弦の音 「ミ」

・基準となる弦の音「ミ」 その2/3の長さの弦の音 「シ」

・基準となる弦の音「シ」 その2/3の長さの弦の音 「ファ♯」

・基準となる弦の音「ファ♯」 その2/3の長さの弦の音 「ド♯」

・基準となる弦の音「ド♯」 その2/3の長さの弦の音 「ソ♯」

・基準となる弦の音「ソ♯」 その2/3の長さの弦の音 「レ♯」

・基準となる弦の音「レ♯」 その2/3の長さの弦の音 「ラ♯」

・基準となる弦の音「ラ♯」 その2/3の長さの弦の音 「ミ♯=ファ」

・基準となる弦の音「ファ」 その2/3の長さの弦の音 「ド」

このように、これを12回繰り返すと、1オクターブ上の「ド」が現れます。

しかし、このように作り出された1オクターブ上の「ド」の音は、最初の「ド」と全く同じピッチにはなりません。

最初の「ド」より、少しだけ高いピッチになってしまうのです。

この2つの「ド」を同時にならすと、きれいにハモらず、微妙な音のズレができてしまいます。

以下の動画、(3:11〜3:50)を聞くと、その音の違いを体感することができます。

平均律とは

このズレを解決するために、平均律が生まれました。

純正律ではズレてしまうオクターブの響きを、平均律ではぴったり合わせることにしました。

そのためには、上の音のピッチを少し下げる必要があります。

これは、1オクターブの幅を短くするということです。すると、オクターブの幅が下のように歪んでしまいます。

この歪みを調整するために、1オクターブを12個の音階に均等に割り振ったのが、平均律です。

平均律では、一つ一つの和音がぴったり美しくハモることよりも、全体のズレを均等にすることを優先しています。

私が初めて触れた純正律

私が「純正律」に初めて触れたのは、学生時代に所属していたコーラス部での練習中でした。

私たちは、「グレゴリオ聖歌」という教会音楽を、発声練習でよく歌っていました。

こんな曲です。再生ボタンを押して、動画をご覧ください。

このグレゴリオ聖歌は、「純正律」の音楽だったのです。

その練習の中で、指揮者の先生が、

「この音はちょっと高めに出して。」とか、「もう少し低めに出して。」

といった、ピッチを調整するような指示を頻繁に出されていました。

先生の指示通りピッチを合わせると、響きがとても美しくなるのを身体で感じたのを覚えています。

このように、合唱では和音の美しさを追求するため、純正律の音楽を学びます。

ある本によると、以下のように記されています。

平均律とは、「妥協の産物であり、ハーモニーが濁っている」

純正律は、「宇宙の神秘を感じるほど、透明で澄んでいる」

これだけ読むと、平均律は悪のように聞こえます。しかし、それでも現代の音楽で平均律が採用される理由を、これから説明していきます。

現代の音楽で平均律が採用される理由

19世紀頃から現代まで、音楽は平均律で演奏されています。

なぜなら、純正律の音楽は、1オクターブの音がぴったり合わないため、転調(てんちょう)をすることができない不便さがあったからです。

「転調」とは、調を変えることをいいます。

純正律しかなかった頃は、違う調の曲を演奏するたびに、チューニングしていたということになります。

これでは、不便で仕方ないですね。

逆に、平均律では、1オクターブはぴったりとあうようになります。

これにより、チューニングを変えずに、すべての調に転調できるようになったのです。

現代における純正律

現代には、純正律の音楽が全くないかというとそうではありません。

あえて、純正律を選ぶ人もいます。

エンヤ(Enya)さんは、現代でも純正律の美しさを追求して、音を作っているミュージシャンの一人です。

美しい響きで、人々の心を癒してくれます。

エンヤ (Enya)

純正律で調律されたピアノで演奏している、動画もありました。

このように、現代においても純正律で演奏される音楽もあります。

ピアノは、あらかじめ調律された以外の音を出すことはできません。ですが、管楽器やバイオリンなどの場合は、吹き方や押さえる指の位置で簡単に音程を合わせることができます。

歌う場合も、ピッチを合わせることができます。

これらの楽器を使うことで、純正律でも演奏することができるのです。

まとめ

純正律は、和音の響きの美しさを追求した結果、編み出されたチューニング方法です。

平均律は、1オクターブを12個に均等に割り振って作られました。

純正律の不便さを解決するために生まれた、現代のチューニング方法です。

現代では、ほぼ耳にすることのない純正律ですが、澄み切った和音の響きが本当に美しいです。

生で聴くと、その澄み切った音の虜になってしまいます。

機会があれば、ぜひ生で聞いてその美しさを体験してみてくださいね。

最後までお読みくださり、ありがとうございました。