歌うメッセンジャーの綿引ゆうです。
ピアノを弾く人にとって、ミスタッチというのは本当に怖いものです。
それまでどれだけ完璧に曲を演奏していたとしても、一つのミスタッチで全て崩れ去る・・・
私は、それくらいミスタッチを恐れていました。
なぜなら、ピアノのミスタッチは、素人の方にも間違えたなとすぐにわかってしまうからです。
しかも、どれだけ練習をしても、突発的なミスタッチをゼロにすることは難しいのです。
「そんなことは気にしないで、楽しんで弾きなさい!」
と、いろんな方からアドバイスいただきました。
でも、明らかにミスタッチが多すぎると感じて、自分の演奏に満足はできませんでした。
ただやみくもに練習しても、なかなかミスタッチが減らなかったのです・・・
でも、あるコツを掴むと、以前よりミスが目立たなくなってきたのです。
今だからわかる、ミスタッチを減らす方法についてご紹介していきます。
*この記事の内容を、以下の動画でも話しました。中央の再生ボタンを押してご覧ください。
もくじ
まずは部分練習!
ミスタッチをなくすには、まずは練習することです。
この時、曲の始めから最後まで通してする練習ではなく、弾けない場所だけ切り取って練習する部分練習をしてください。
これだけで、決まった場所でしてしまうミスタッチは確実に減ります。
ある程度、練習で減ってくるミスタッチですが、
どれだけ練習してもミスタッチを0に近づけることができない・・・
そんな場合もあります。
ミスタッチには、2種類のタイプがあるからです。
・毎回決まったところで間違えるタイプ
・いつも間違える場所ではないのに、突発的に外してしまうタイプ
前者は練習で克服できますが、後者は予測ができないので練習では克服できないのです。
そんな時には、次のことを試してみてください。
体幹を鍛える
ピアノをはじめ、楽器の演奏というのは身体を動かして行います。
ですから、スポーツのように身体を鍛えると、思ったように指を動かすことができるようになります。
特に体幹を鍛えると、驚くほど正確に打鍵ができるようになります。
木で人間の身体を例えると、太い幹が身体の体幹、細い枝が手になります。
この幹の部分がしっかりしていると、枝が安定して思い思いの方向へ伸びていくことができます。
そして、思った場所を正確に打鍵するという作業は、例えば、野球でいえば正確にボールをバットに当てるようなものです。
体の軸である体幹がしっかりとしていると、頭でイメージした場所に確実に指を置くことができるのです。
オススメのトレーニングは、ヨガです。
ヨガには体幹を強くするポーズが、たくさんあります。
私は、最近、昔やっていたヨガを再びやり始めました。
そうしたら、改めてミスタッチが少なくなったのを実感しました。
ピアノの椅子に座る姿勢を覚える
身体を鍛えると同時に、ピアノの椅子に座る時の姿勢も大切です。
一瞬でベストな位置に座ることができるように、普段から心がけておくといいです。
椅子の高さはどのくらいか、どのくらい深く腰掛けたらいいか、身体に覚えこませておきましょう。
「丹田(たんでん)」というおへそから5cm下にあるツボがあります。座る時にここに力を入れるようにすると、更に安定して座ることができます。
目を閉じて弾く
音の幅を完全に覚えるために、目を閉じて弾く練習をしましょう。
これまで目を閉じて弾いたことのない方は、試しにやってみてください。
今まで、いかに目を使って場所を探っていたかがわかると思います。
特に、音が飛ぶところは、確実に目を使っていますよね。
目を閉じて練習し、確実に押さえられるようにすると、ミスが減ります。
幅が広がっても確実に押さえられるように、少しずつ練習していきましょう。
重要な音にフォーカスする
そうはいっても、人間ですから、100パーセントミスをなくす事はできません。
だったら、どうすればいいのでしょうか?
曲の中で、絶対に外していけない音と、外してもそんなに目立たない音があります。
その重要な音にフォーカスして、そこを外さないようにするのです。
「曲の全部をノーミスで弾くこと」と
「重要な部分だけ、絶対に間違えないで弾くこと」
では、後者の方が簡単ですよね。
完璧な演奏ができれば、それに越したことはありません。
ですが、それが無理ならば、ポイントを抑えてそこを重点的に固めた方が、全体の出来栄えはよくなります。
それでは、重要な場所はどこなのか説明していきます。
曲の最初の音
一番最初の音は、一番お客さんが最も耳を済ませて聞いているところなので、絶対に間違えてはいけません。
人前で弾くときなど、緊張して、最初の場所を間違えるのはよくあることです。
これを防ぐには、音を出す前に鍵盤の上に指を置くようにします。
深呼吸をしてから、演奏を開始します。これにより、最初の音を間違えずに弾くことができます。
一番最後と最後から2番目
最初とともに大事なのは、曲の一番最後です。
曲の最後には形式的な「型」があり、ほとんどの場合その形で終わります。この形で終わると、誰が聞いても終わりだとわかりやすく、安心して聴けるのです。
例えば、文章は、「〜です。〜ます。〜だ。」など、決まった形で終わります。
「私は、猫が好きです。」というところ、
「私は、猫が好きでぬ。」と聞こえたらどうでしょう。
「猫が好きです」と言いたかったのか、「好きでない」と言いたかったのか、どっちなんだ???と、疑問が沸き起こります。これでは、何が言いたいのか伝わりませんよね。
音楽でも同じです。
この、「です、ます」にあたる重要部分が、「Ⅱ−ⅤーⅠ(ツーファイブワン)」という音形になります。
これは、そのキーの音階、ドレミファソラシドの中の、2番目、5番目、1番目の和音を弾くという意味です。
以下は、Eメジャーキーの「Ⅱ−ⅤーⅠ(ツーファイブワン)」です。
再生ボタン▶を押して音声をお聞きください。
Eメジャーキーの音階は、
ミ・ファ♯・ソ♯・ラ・シ・ド♯・レ♯・ミ
E・ F♯ ・G♯・ A・ B・ C♯・ D♯ ・E
となるので、
F♯ーBーEが、「Ⅱ−ⅤーⅠ(ツーファイブワン)」になります。
この3つの音のうち、2番目(B)と3番目(E)の音、「ⅤーⅠ(ファイブワン)」を間違えないように、確実に弾くのです。
例えば、Ⅴ(ファイブ)をミスすると、こんな感じになります。
再生ボタン▶︎を押して音声をお聞きください。
Ⅰ(ワン)をミスすると、こんな感じです。
とても違和感を感じる、嫌な響きがしますね。
ここでミスがあると、かなり違和感があるために、聞いているほとんどの人に気づかれてしまいます。
逆にいえば、ここを重点的に練習してミスしなければ良いということなのです。
この形は、実は曲の最後だけでなく、フレーズとフレーズをつなぐところでも頻繁に出てきます。
そして、この音形は、Ⅴ(ファイブ)からⅠ(ワン)まで、音が5つも離れています。ですから、音を外しやすい場所でもあります。
だから、部分練習では、必ずこの部分に重点をおいて練習しましょう。
そして、ⅤーⅠを極めるための練習を、ご紹介します。
ⅤーⅠの練習(Cキー)
再生ボタン▶︎を押して音声をお聞きください。
ここでは、右手のメロディーはあまり重要ではなく、左手に注目してください。
この左手の音形を、覚えてしまいましょう。
そして、今練習している曲のキーでこれを練習してください。
余裕があれば、これをすべてのキーで完璧に弾けるよう練習すると、ⅤーⅠでミスをする確率が劇的に減ります。
私は、この形を、すべてのキーで弾く練習をしています。
これが無意識に弾けるようになると、確実にミスを減らすことができますよ。
それ以外は、気にしない!重要なのは・・・
重要な音以外はどうするかというと、ミスしても気にしないようにするのです。
そして、ミスをしたとしても、決して止まってはいけません。テンポは変えずに、全体の流れを崩さないように弾き続けます。できるだけ早く元に復帰することだけを、考えるのです。
どんなに一流のピアニストの方でも、ミスタッチはするのだそうです。
ですが、一般の人との違いは何かというと、ミスからの復帰がとてつもなく早いのです。
復帰がとても早いため、ほとんどの人には気づかれません。
そこまで訓練するのは、並大抵のことではありません。
ですが、これに近づけることで、聞いているお客様に違和感や不安感を与えることが少なくなります。
ですので、そこを目指して練習していくといいです。
間違えたところを止まって弾き直すのは、部分練習の時だけにしましょう。
通し練習をする時には、どんなに崩れたとしても気にしないで、最後まで止まらない練習をしてみてください。
まとめ
ピアノのミスタッチを減らすためにできることは、
・まずは部分練習をする
・体幹を鍛える
・目を閉じて弾く
・重要な音を重点的に練習する
・それ以外は、気にしない!流れを止めないように、復帰することに全力を注ぐ
この5点でしたね。
あとは、聞いている人にいかに気づかれないようにするかですよ!
どんな時にも落ち着いて、ポーカーフェイスで弾ききればいいのです。
事前にやるべきことをやったら、あとは楽しんで弾くことに専念しましょう。
そうすれば、ミスタッチなんて怖くなくなりますよ。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。