ピアノを弾く時に手が小さくて指が届かない時、どうする?

歌うメッセンジャーの綿引ゆうです。

ピアノを弾いていく中で多くの人がぶつかる問題として、「手が小さくて指が届かない!」というのがあります。

手の大きさは体格にだいたい比例します。日本人は世界的に見ても、小柄な人が多いですよね。

私の身長は、153センチです。ですから、私の手は決して大きくありません。

子供の頃から、手が小さいことが私のコンプレックスでした。

この曲が弾きたいとチャレンジするも、指が届かなくて断念したことは数しれず・・・。

無理のない曲を弾くように先生に諭され、しぶしぶそんな曲を選んでいました。

 

でも、その後しばらくして、やり方によっては、小さな手でも憧れの曲を弾くことができることを知りました。

そんな方法をお伝えしていきましょうか。

 

実はプロでも手が小さい人がいる

手にコンプレックスのある私は、誰かの手をつい見てしまうクセがあります。

特に、ピアノがうまい人の手はよく見ます。

時には、「手を見せてください!」と頼んで、じっくり見せてもらうことも・・・。

 

たくさんの手を見てきて、思ったことは、

ピアニストさんの手が、必ずしも大きいわけではないということです。

ピアニストさんの手は大小さまざまであり、個性的です。

共通しているのは、手がものすごく発達している事です。

具体的にいえば、手の厚みが分厚くて、特に親指の根元あたりがふっくらしています。

そして、第一関節が太く、しっかりしています。

カエルの手のように、指先が丸く、せり出ている方もいました。

カエルの場合、水をしっかり捉えて泳ぐために発達した指ですけど、この方の場合は、ピアノの鍵盤を確実に捉えるための指なのですね。

 

小さい手の方でも、水かきの部分がとても柔軟で、驚くくらい開きます。

水かきの部分とは、カエルの絵でいうとここの部分です。

 

これを見てきて、私は思いました。

手が小さいと嘆いている場合ではない!

それよりも、柔軟性を高めて指が広がるようにトレーニングしたり、できる事をやったほうがいい。

 

だから、小さい手でどうやって弾きたい曲を弾いていくかを考えるようになりました。

 

指が届かない時、あなたならどうする?

私の娘も、ピアノをやっています。あれは、娘が小学4年生の頃、発表会のための曲選びをしていた時のことです。

先生から、今回は「乙女の祈り」という曲に決まりました。と連絡がありました。

こんな曲です。

「乙女の祈り」Badarzewska

この動画は、指が見えるのでわかりやすいと思います。

冒頭から、ずっとオクターブでメロディーが演奏されます。

オクターブとは、「ド」の音からもう1つ高い「ド」までの音までの幅をいいます。

 

手が小さい人は、オクターブの鍵盤の幅を物理的に押さえることができません。

仮に、めちゃくちゃ頑張って開いてやっとオクターブを押さえられたとしても、曲で使うことができません。

なぜなら、確実に押さえることができないので、ミスタッチが多くなってしまうからです。そして、無理して必死に伸ばした状態は手の筋肉が硬くなってしまい、しなやかなタッチができません。手の脱力ができていないと、ピアノの音を綺麗に響かせることができないからです。

よって、「乙女の祈り」は私のような小さい手の人が選ばない、代表的な曲なのです。

 

先生からこの曲に決めたと聞いた時、私は、

「えっ!!!どうやって弾かせるつもりなんだろう?」

と疑問でいっぱいになりました。

 

娘はまだ子供ですし、同年齢の平均から言っても身体が大きい方ではありません。

手をいっぱいに広げても、オクターブはおろか、「ド」から「シ」が精一杯。

こんな感じで、上のドの音に小指が触れていますが、押さえることができていません。

先生は続けて、

「指届かないからシングルになっちゃうけど、やらせてみようと思います」

とおっしゃいました。

シングルとは、オクターブの音を両方弾かずに片方だけ弾くことです。

ゴージャス感に欠けますが、元のメロディーは表現できます。

 

それを聞いて、私は本当に驚きました。

 

「指が届かないから諦める」

ではなく、

「届かないなら、曲の雰囲気を変えない範囲で、弾けるようにアレンジして弾く」

という考え方に感動しました。

 

完成された芸術を再現するクラッシック音楽であっても、こんな柔軟な考え方の先生がいらっしゃるのですね。

私はこれまで、形式を重んじる先生にしか触れてこなかったので、そんな発想に至りませんでした。

もっと早くにこの考え方ができていたら、私ももっとピアノがうまくなったのになと思います。

ピアノの上達は、先生の教え方にかかっているなと改めて感じました。

 

特に子供の場合、まだ成長過程の段階で、これから手が大きくなる可能性が十分にあります。

大人の場合も、今後のトレーニング次第でオクターブを弾けるかもしれないのです。

今、弾けないからと諦めさせるのではなく、できる範囲で弾かせてみて、

少しでも名曲を弾ける喜びを味わった方が、遥かに可能性を広げると思います。

 

だから、手が小さいから、指が届かないからと諦めないでください。

弾き方を工夫するだけで、元の曲の雰囲気をそのままに弾くことができます。

そのコツをご紹介していきますね。

 

指が届かない時の弾き方

主に二つの方法があります。

モーツァルト作曲、「トルコ行進曲」を例にあげて説明していきます。

分散和音で弾く

この曲の中で、右手でメロディーをオクターブで弾くフレーズがあります。

どんな人でも一度は聞いたことあるくらい、有名なフレーズです。

そして、曲の終盤にも同じフレーズが出てきますが、

ここでは、オクターブの2つの音を同時に弾かず、時間差で弾いています。

いわゆる、「トレモロ」と呼ばれる奏法です。

このトレモロのように、時間差で和音を押さえると、小さな手でも少し弾きやすくなります。

 

3つの和音で押さえる時も、同様です。

1オクターブ押さえるのがやっとの人が、

「ド」「ミ」「ド」(青字は一オクターブ上のド)と押さえるのは非常に大変です。

写真のように、小指は上のドの音をしっかり押さえることができていません。

ですが、

下から順に時間差で押さえることで、手が小さくてもすべての音を鳴らすことができます。

動画でも説明しました。

手首を滑らかに回すように動かして弾くと、とても弾きやすくなります。

この時の注意点ですが、一瞬のうちにすべての音を弾き終えるようにしましょう。

元のメロディーをイメージして、それとできるだけ同じように聞こえるようにします。

さりげなく、一瞬で弾ききるようにするとうまくいきますよ。

 

弾かなくてもいい音はあえて弾かない

こちらも、トルコ行進曲で説明していきます。

先ほどのフレーズの左手部分です。

ラドミラ・ラ・ラ・ラ ラドミラ・ラ・ラ・ラ

この曲の肝とも言えるトルコ風なフレーズなので、

できればこのまま弾きたいところですが・・・・・

 

指が届かない場合はどうするかというと、最初の「ラ」を弾かないようにするのです。

ドミラ・ラ・ラ・ラ ドミラ・ラ・ラ・ラ となります。

低音がなくなった分、重厚感が薄くなってしまいますが、曲の雰囲気は保たれています。

 

なんでこの「ラ」を省いていいかというと、

ある和音を表すのに、それを構成する音が一つでもあれば成り立つからです。

ここでいうと、ラ・ド・ミが最低一つずつあればいいのです。

 

ラドミラ・ラ・ラ・ラ

そして、なぜ最後の方のラでなく最初のラを省くのかといえば、

役割で分けてみると、最後方のラ(赤字)は核となる本体であり、最初のラ(青字)は飾りの部分だからです。

 

例えば、私がドレスアップして、ネックレスやピアスをつけて着飾ったとします。

いつもの私より、ちょっとゴージャスになりますね。

これが、モーツァルトが書いた原曲の状態です。

 

ですが、ネックレスやピアスを外したとしても、私という本体は変わりません。

ドレスじゃなくてジーパンにTシャツでも、私だってわかりますよね。

 

こんな風に飾りはなくても、なんとかなります。

極端に言えば、

ラドミラ・ラ・ラ・ラ

の飾りである、ラドミをすべて取ってしまって

ラ・ラ・ラ・ラ

と弾いても、聞いていておかしくありません。

右手シングル、左手本体のみ(飾りなし)

ちょっと物足りない感じがしますが、音楽としては成立しています。

 

でも、この曲はタイトルの通り、「トルコ風な行進曲」なわけです。

トルコ風な飾りが、曲の至る所に散りばめられています。

だから、飾りを全部取ってしまわずに、できるだけ残した状態にします。

大きいアクセサリーから、小ぶりのアクセサリーに変える感じです。

そうすると、原曲のイメージそのままに弾くことができるのですね。

 

小さい手でも弾けるアレンジバージョン

 

 

このように、違和感がないように音を省いたりするには、ハーモニーの知識が必要です。

ですが、わからないなりにも指が届かない音をどう弾くか考えてみると、道が開けてきます。

専門知識がなくても、自分の耳を頼りに探って弾いてみましょう。

耳で聞いておかしくなければ、大抵あっていることが多いです。

信頼できる人に聞いてもらって、判断してもらうのもいいですね。

完璧を求めすぎず、なんとかして弾く方法を探していきましょう。

 

オクターブを弾くためのトレーニング

ネットをさまよっていて、こんな動画を見つけましたのでご紹介します。

某メーカーの油性マジックとボールを使った、オクターブ弾くためのトレーニング方法です。

マジックの長さと、レからシまでの鍵盤の幅が一緒とは、驚き!!!

娘にも、やらせてみようかと思います。

 

 

まとめ

 

このように、手が小さくても工夫次第で有名曲が弾けます!

・分散和音を使う

・弾かなくていい音はあえて弾かない

これだけでも、だいぶ弾ける曲の幅は広がるのではないでしょうか。

 

ご紹介したオクターブを弾くトレーニング法も、参考にしてみてくださいね。

 

でも、何より大事なのは、

「この曲を弾きたい!」という情熱です。

 

情熱さえあれば、

専門知識がなくたって、ちょっとくらい変だって、

「手が小さい」なんてちっぽけなこと、超えていけると信じています。

 

すぐにできなくても、決して諦めないで欲しいです。

この記事を読んで、自分らしく弾ける方法を見つけてもらえたら嬉しいです。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。